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赤ちゃんのうんちの色

【小児科医師執筆】赤ちゃん・新生児のうんちの色|母乳・ミルクで違う?つぶつぶは平気?受診の目安

この記事の監修医

井上 信明 先生

井上 信明先生

資格・経歴

日本小児科専門医、小児科指導医、アメリカ小児科専門医、 小児救急専門医。公衆衛生学修士(国際保健)

奈良県出身。奈良県立医科大学卒。日本、アメリカ、オーストラリアにて小児科、小児救急医療を研修。日本だけでなく、特にアジアの子どもたちが、安全で安心できる環境で育つことができる社会づくりを目指しています。

赤ちゃんのうんちは毎日のように見ていているもので、普段は気になることがないものではないでしょうか?

でも

・急に色が変わっている
・いつもと違ううんちが出る

などすると、何か病気が隠れているかもしれないと心配になるかもしれません。

今回の記事では、赤ちゃんの元気なうんちの特徴、また注意すべきうんちの特徴についてご紹介いたします。

赤ちゃんの元気なうんちの特徴

まず元気な赤ちゃんのうんちの特徴についてご説明します。

元気な赤ちゃんのうんちの色

生まれてから数日は、まだ胎便が出ることがあります。

これは、生まれる前の赤ちゃんが作っていた、黒くてどろっとした、粘り気のあるうんちのことです。

その後すぐに

・黄色
・茶色

の色に変わります。

離乳食が始まるまでは、比較的鮮やかな黄色をしていることが多いです。

ときに緑色になることもあります。

これは母乳を飲んでいるときにみられる傾向があります。

離乳食が始まると、茶色に変わっていくことが一般的です。

元気な赤ちゃんのうんちの形

生まれてから数ヶ月間の赤ちゃんのうんちは、柔らかく、また泥状になっていることが一般的です。

これはまだ赤ちゃんの腸が未熟なことが影響しています。

他方、まだ赤ちゃんはきばってうんちをする力も未熟なので、柔らかいうんちの方が好都合です。

生後数ヶ月を過ぎると、徐々に形のあるうんちが出るようになります。

1歳を過ぎる頃には、しっかりと硬いうんちが出るようになります。

元気な赤ちゃんのうんちの匂い

生まれたばかりの赤ちゃんのうんちは、臭いがほとんどありません。

しかし、その後赤ちゃんの腸に細菌が定着してくると、うんちはより臭くなります。

これは正常なプロセスです。

母乳で育てられた赤ちゃんのうんちは、通常、あまり臭くなく、どちらかというと酸っぱい臭いがします。

粉ミルクで育てられた赤ちゃんのうんちは、臭いが強いことが多いです。

元気な赤ちゃんのうんちの回数

生まれてすぐの赤ちゃんは、通常毎日1回のうんちをします。

生後5日目以降は、母乳育児の赤ちゃんは多ければ1日に約5回のうんちをしますが、数日に1回から1日に数回までの範囲内であれば、通常は普通です。

生後6週間になると、母乳を飲んでいる赤ちゃんのうんちのパターンが変わり始め、赤ちゃんが数日うんちをしないこともあります。

赤ちゃんの体重が増えている限り、6週間以降はうんちの数を数え続ける必要はありません。

数は日によって異なりますが、それは完全に正常なことです。

粉ミルクを飲む赤ちゃんは、1日に3~4回うんちをしますが、なかには3~4日も排便がない日が続く赤ちゃんもいます。

元気なうんちに混ざっているもの

赤ちゃんの腸には、食べ物を消化する能力がまだ十分育っていません。

したがって、食べたものが未消化で出てくることは問題ありません。

また母乳や粉ミルクを飲んでいる赤ちゃんのうんちに、白い粒状のものが混ざることがありますが、これはミルクに含まれる脂肪成分がもとになって出来ているものですので、心配ありません。

赤ちゃんの元気なうんちの特徴

赤ちゃんの注意すべきうんちの特徴

では、次に注意をする必要がある赤ちゃんのうんちの特徴をご紹介します。

注意すべき赤ちゃんのうんちの色

まず母子健康手帳に、赤ちゃんの便の色の参考にするための「便色カード」がついていますので、その色を参照してください。

黒いうんちが出れば、

・赤ちゃんの食道や胃からの出血の場合
・お母さんの乳首からでた血液を飲み込んだ場合

が考えられます。

白いうんち(または灰色のうんち)は、赤ちゃんの肝臓に問題があることを示しています。

肝臓に問題がある赤ちゃんは、通常、黄疸が出ています。

白っぽいうんちは、何か問題があることを示す重要なサインです。

特に生後1ヶ月頃に白いうんちが出る場合は、急いでかかりつけ医に相談しましょう。

なお、ワクチン接種が進み、今後劇的に減少することが予想されるロタウイルスによる胃腸炎では、白くてコメのとぎ汁のようなうんちが出ます。


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注意すべき赤ちゃんのうんちの形

うんちが極端に水っぽい場合は、赤ちゃんが必要な栄養素を十分に吸収できていない可能性があります。

これは、

・ミルクアレルギー
・消化管内の感染症

が原因であることもあります。

これらの感染症は通常ウイルス性のもので、薬を飲まなくても治りますが、生まれて間もない赤ちゃんの場合は脱水症状を起こしやすくなります。

赤ちゃんの様子がおかしい場合は、必ずかかりつけの医師に相談してください。

非常に硬いうんちは、便秘である可能性があります。

これは医学的な問題が原因の場合もありますが、粉ミルクの水分量が不適切など、医学的な問題ではないことが原因である可能性が高いです。

注意すべき赤ちゃんのうんちの匂い

水のようなうんちに伴って、酸っぱい臭いのするうんちが出る場合、

・細菌
・ウイルス

が原因となる下痢の可能性があります。

特にロタウイルスによる下痢は、鼻をつくような酸っぱい臭いがします。

ただ赤ちゃんが元気にしているようであれば、慌てる必要はありません。

注意すべき赤ちゃんのうんちの匂い

注意すべき赤ちゃんのうんちの回数

赤ちゃんでも、便秘になることがあります。

・母乳を飲んでいる赤ちゃんが3日以上うんちをしない場合
・粉ミルクを飲んでいる赤ちゃんが5日以上うんちをしない場合

のいずれかの場合は、一度かかりつけ医に相談してみるとよいでしょう。

注意すべき赤ちゃんのうんちに混ざっているもの

うんちに赤い血液のようなものが混ざっていれば、腸のなかで出血している可能性があります。

これは、

・ミルクアレルギー
・肛門が切れたこと

などが原因かもしれません。

赤ちゃんが母乳で育てられている場合、便に血が混じっている場合は、お母さんの食事に含まれるものに対するアレルギーである可能性があります。

かかりつけの医師は、

・乳製品
・大豆
・ピーナッツ
・小麦
・木の実

など、可能性のある食品を2~3週間、排除してみて、原因を特定するよう指示するかもしれません。

赤ちゃんが粉ミルクを与えられている場合、便に血が混じっている場合は、粉ミルクに含まれるミルクに対するアレルギーの可能性があります。

もし続く場合は、粉ミルクの切り替えについて検討する必要があるでしょう。

アレルギーとは別に、赤ちゃんの肛門に小さな裂け目があり、それが出血の原因になっているかもしれません。

なおトマトなど赤い食べ物を食べたあとにでた場合は、心配することはありません。

うんちにねばっとした粘液が混じっている場合は、

・感染症
・消化不良

のサインかもしれません。

赤ちゃんのうんちに粘液が混じっている場合は、かかりつけの医師に相談してください。


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赤ちゃんの注意すべきうんちの特徴

急いで病院を受診すべき赤ちゃんのうんちの特徴

最後に、急いで病院を受診すべき赤ちゃんのうんちの特徴をご紹介しておきます。

繰り返し泣き、赤ちゃんのうんちに血液が混ざる場合

これは腸重積と呼ばれる、赤ちゃん特有の腸閉塞にみられる症状です。

腸重積の最初のサインは、元気な赤ちゃんが、突然大声で泣き出すことです。

これはお腹の痛みのためで、通常15~20分おきに痛みが強くなって弱くなります。

赤ちゃんは痛みが来ると泣き、痛みがなくなると元気になります。

その他、

・血液と粘液が混ざったうんちが出る
・元気がなくなってぐったりする

こともあります。

腸重積は、できるだけ速やかに問題が起こっている場所を探し出し、詰まった腸を解除する必要があります。

したがって、腸重積が疑われる症状がある場合は、急いで病院を受診しましょう。

下痢にともなって元気がなくなっている場合

頻回の下痢にともない、赤ちゃんの元気がなくなっている場合、赤ちゃんは脱水を起こしていて、血糖値が低下している可能性もあります。

このような場合、

・血液検査
・点滴

が必要となる場合があります。

特にぐったりしている場合は、できる限り急いで病院を受診することをお勧めします。

急いで病院を受診すべき赤ちゃんのうんちの特徴

まとめ

赤ちゃんの元気なうんちの特徴、注意すべきうんちの特徴、そして急いで病院を受診すべきうんちの特徴をご紹介しました。

元気に母乳や粉ミルクを飲み、順調に体重が増えている場合、通常はさほど心配をする必要はありません。

でももし赤ちゃんのうんちのことで気になることがある場合は、ぜひかかりつけの医師に相談してください。

その場合、できれば

・うんちの写真を撮る
・うんちの実物を持ってきて受診する

などすることをお勧めします。