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発達障害に不安

【小児科医師執筆】赤ちゃんの発達に不安を感じたらどうするべきか?|発達障害とは?

生まれたばかりのときは何もできなかった赤ちゃん。

でも成長するに従い、笑うようになり、手足を動かすようになり、徐々にいろんなことができるようになっていきます。

そんな赤ちゃんの発達が、他の赤ちゃんと比べて遅れているのではないかと不安になる方もおられるのではないでしょうか?

今回の記事では、発達の遅れにはどのような種類のものがあるのか、また赤ちゃんの発達に不安を感じるときにはどのようにするのがよいかについて、ご説明します。

発達障害について

まず、発達障害にはどのようなタイプがあるか、またそれぞれどのような特徴があるのかについてご説明します。

自閉症スペクトラム障害

自閉症スペクトラム障害は、知覚や他者との付き合い方に特性があるため、主にコミュニケーションに問題を引き起こす状態です。

またこの障害には、限定的で反復的な行動パターンが含まれています。

自閉症スペクトラム障害の「スペクトラム」という用語は、症状や重症度の幅が広いことを意味します。

自閉症スペクトラム障害は、通常は幼児期に始まり、最終的には学校や職場など、さまざまな社会の現場で問題を引き起こします。

多くの場合、生まれてから数年の間に自閉症の症状を認めるようになっています。

自閉症スペクトラム障害の治療法はありませんが、早期に対応することで、多くの子どもたちが自分の持つ特性を活かして生活することが可能になります。

特徴的な症状

一部の子どもは、

・アイコンタクトの減少
・名前への反応の欠如
・養育者への無関心

など乳児期の早い段階で自閉症スペクトラム障害のサインを示します。

生後数年は正常に発達しますが、その後突然、

・引きこもりや攻撃的になる
・すでに獲得した言語スキルを失う

こともあります。

これらの症状は、通常2歳までにみられます。

自閉症スペクトラム障害の子どもは、それぞれ独特の行動パターンがあり、さらに低機能から高機能まで、異なるレベルの重症度を有しています。

知能が低く、うまく学習できない子どももいますが、高い知性を持っている子どももいます。

ただ、勉強がよくできる反面、社会的な状況に上手に適応できないことが一般的です。

以下に、自閉症スペクトラム障害の人々が持っている、いくつかの一般的なサインをご紹介します。

コミュニケーションと他人との関係の構築

自閉症スペクトラム症の人は、コミュニケーション能力に問題を抱えていることがあります。

赤ちゃんの頃から自分の名前に反応しない、抱きしめられることに抵抗があり、自分の世界に引きこもって一人で遊ぶことを好みます。

その他、以下のような特徴があります。

・アイコンタクトをしない、表情が乏しい
・話すことができない、または発話が遅れている
・口調やリズムに異常があり、単調でロボットのような話し方をする
・言葉やフレーズを繰り返し使うが、使い方がわからない
・簡単な質問や指示を理解していない
・感情を表に出さず、人の気持ちを理解できないようにみえる
・他人の顔の表情や体勢、声のトーンなど、非言語的な合図を認識することが難しい

行動パターン

自閉症スペクトラム症の子どもは、行動、興味、または活動において限定的で反復的なパターンを持っていることがあります。

例えば以下のようなものです。

・グルグルと回転する、または手をばたつかせるなどの反復的な動きをする
・自分の体の一部を噛む、頭を叩くなどの自傷行為をする
・特定の日課や儀式を非常に大切にし、わずかな変化でパニックになるようになる
・協調した運動に問題があり、不器用。つま先で歩くような奇妙な動きのパターンを持つこともある
・おもちゃの車の回転する車輪のように、ある特定の物体の細部に特別な興味を示すが、物体の全体的な目的や機能を理解していないことがある
・光、音、または触れられることに異常に敏感
・模造芝居やごっこ遊びには興味を持たない
・少数のものしか食べない、特定の食感のものを拒否するなど、特定の食嗜好を持つ

自閉症スペクトラム障害 特徴

注意欠陥多動性障害

注意欠陥/多動性障害(ADHD)は、多くの子どもたちに影響を与える慢性的な状態であり、多くの場合、大人になっても継続しています。

ADHDは、

・注意を維持することの難しさ
・多動性
・衝動的な行動

などの問題の組み合わせが含まれています。

ADHDの子どもたちは、学校での

・低い自尊心
・問題を抱えた人間関係
・悪い学業成績

に悩まされることがあります。

症状は、年齢とともに軽減することがあります。

なかにはADHDという特性とうまく付き合い、成人して以降社会で成功する子どもたちもいます。

ADHDを治すことはできませんが、症状を大いに軽減させることはできます。

治療には薬と行動療法が含まれます。

早期診断と治療は、結果に大きな違いをもたらすことができます。

特徴的な症状

ADHDの主な特徴は、不注意と多動性衝動性行動です。

ADHDの症状は12歳より前に始まり、子どもによっては3歳から顕著に現れることもあります。

ADHDの症状は

・軽度
・中等度
・重度

に分けられます。

ADHDは、女性よりも男性の方がよくみられます。

たとえば、男の子はより多動的であり、女の子は不注意である傾向があります。

ADHDの3つのサブタイプがあります。

1.主に不注意が多い:症状の大部分が不注意に該当する
2.主に多動性・衝動性:症状の大半が多動性・衝動性に該当する
3.複合型:不注意症状と多動性/衝動性の症状が混在する

不注意

不注意のパターンを示す子どもは、多くの場合、以下のようなことがあります。

・細部に注意を払うことができなかったり、学業でケアレスミスをしたりする
・タスクや遊びに集中できないことがある
・直接話しかけられても、気づかないようにみえる
・指示に従うことが難しく、学校の勉強ややるべきことが終わらない
・タスクや活動を整理するのに苦労している
・宿題のように、集中した精神的な努力を必要とする仕事を避けたり、嫌いになったりする
・タスクや活動に必要なものを紛失する(おもちゃ、学校の課題、鉛筆など)
・気が散りやすい

多動性と衝動性

過活動的で衝動的な症状のパターンを示す子どもは、多くの場合、次のようなことがあります。

・手や足をそわそわしたり、叩いたりする
・教室などで座ったままでいることが困難
・外出先でも、常に動き続ける
・走り回ったり、登ったりすることが適切でない状況で、静かにすることができない
・喋りすぎる
・質問者を中断して答えを話す
・順番を待つのが困難
・他人の会話や活動を妨害する

ADHD

学習障害

学習障害は、技術を学び、それを効果的に使用することがうまくできない、情報処理の問題です。

学習障害は一般的に平均または平均よりも上の知能を持つ人々に影響を与えます。

その結果、年齢や発達段階から獲得していると期待されるスキルと、実際の学業成績の間のギャップがみられます。

一般的な学習障害は、

・読むこと
・書かれた表現
・数学または非言語スキル

の領域で、子どもたちに影響を与えます。

特徴的な症状

一般的には、具体的な勉強が始まる小学生の頃に気づかれます。

・本を読むのが遅い、読んでも理解ができない
・字をうまく書くことが出来ない、誤字や脱字が多い
・数が理解できない、計算ができない

などの特徴があります。

ただし、学校へ通い出す前から

・言葉を話し始めるのが遅い
・上手に数えることが出来ない
・手先が不器用

などの特徴から気づかれることもあります。

学習障害の特徴

赤ちゃんの発達に不安を感じるとき

では、赤ちゃんの発達に不安を感じるとき、どのようにすればよいでしょうか?

かかりつけ医に相談する

何よりも、赤ちゃんをずっとみてくれているかかりつけ医に相談するのがよいでしょう。

保健師に相談する

かかりつけ医がいない場合、お住まいの地域の保健師に相談してみるのも一案です。

保健センターに電話をしてみると、発達のことだけでなく育児の不安についても相談にのってもらえるかもしれません。

健診のときに相談する

あとは健診のときに相談することです。

事前に相談したいことがあると伝えておくとよいかもしれません。

日頃から気になることをメモしておくなど、相談の機会には伝え忘れのないようにしておきましょう。

健診のときに相談する

まとめ

発達障害についてまとめてみました。

以前はよくわかっていなかったことですが、最近は発達障害に対する理解が進んできました。

障害と考えるのではなく、本人の持つ特性と考え、早く発見して適切に介入することで、特性を最大限に活かした人生を送ることができるようになってきています。

気になることがあれば早めに相談し、不安を解消しましょう。