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【小児科医師執筆】新生児のしゃっくり・黄疸・便秘・嘔吐|赤ちゃんの心配事対処法
公開日 2021年02月28日
更新日 2021年05月26日
生まれてきたばかりの赤ちゃんの安らかな寝顔をみていると、心が癒される気持ちになるものです。
しかし、赤ちゃんの体になにかトラブルが発生すると、途端にどうすればよいのか、病院を受診する必要があるのか、色々と心配になるのでないでしょうか?
そこで、今回は生まれたばかりの赤ちゃんに起こりうるしゃっくり、黄疸、便秘・嘔吐について、原因や対処法についてご説明します。
声帯の急速な閉鎖が、しゃっくりの音を作っています。
授乳に続いて起こることがあり、胃内の余分な空気を外に出すための反射だという説があります。
最近の研究では、しゃっくりが赤ちゃんの脳と呼吸の発達に重要な役割を果たしている可能性があることが示されています。
平均して生まれる10週間前からしゃっくりが始まっていることもわかっています。
もししばらく待ってもしゃっくりを続ける場合、以下のことを試してみましょう。
大人のしゃっくりのときにやるような、驚かせたり、水をたくさん飲ませたりしてはいけません。
ただ何度も繰り返す場合は、胃食道逆流症と呼ばれる胃のなかのものが逆流しやすい状態にあるかもしれませんので、かかりつけ医に相談してみましょう。
赤ちゃんの血液中に、ビリルビンという物質が過剰に含まれているために起こります。
ビリルビンは、赤血球が壊れることで産生され、肝臓で除去され便に排出されています。また便中の一部は、再吸収されています。
全ての赤ちゃんの体内では、生まれてからしばらくするとビリルビンが産生されています。
元気な赤ちゃんでも起こる生理的黄疸は、生後数日からみられ、2週間以内に改善します。
多くが治療を必要としません。これは生まれたばかりで肝臓の機能が未熟なため、ビリルビンを十分に除去できないことが原因です。
一方、赤ちゃんの赤血球の異常、お母さんとの血液型の違い、赤ちゃんの肝臓の問題などが原因で黄疸になることもあります。
また母乳に含まれる成分が、ビリルビンの除去を遅らせることもありますし、ミルクの量が不足していて便秘になると、ビリルビンの再吸収が増えて黄疸になります。
自宅での黄疸の確認方法を紹介します。
基本的に母乳を勧めますが、母乳の量が十分ではないとき、少し人工ミルクを加える必要があるかもしれません。具体的には医師に相談することをお勧めします。
重症黄疸は赤ちゃんの脳に障害を残すことがあります。
病院ではビリルビンの値を測定するだけでなく、原因を見つけるための検査を行い、必要に応じて「光線療法」と呼ばれる青緑色の光を照射する治療を開始します。
また生後1か月前後にわかることが多い胆道閉鎖症という病気は、黄疸だけでなく白い便が出ることが特徴です。便が白いときも、必ず病院を受診しましょう。
胎便がしっかりと出れば、赤ちゃんの消化管が閉塞していないことがわかります。
その後授乳が始まると、うんちをします。
しかし、母乳は非常に栄養価が高いため、赤ちゃんの体が母乳のほとんどを吸収してしまい、消化管を通過する量が少なくなってしまうことがあります。そうなると、赤ちゃんはたまにしかうんちをしないかもしれません。
母乳育児をしている赤ちゃんが、週に一度しかうんちをしないことは、完全に正常なことです。
赤ちゃんの便秘は、うんちの回数だけで判断するのではなく、うんちをするのがどれほど大変かも含めて判断します。
4日~5日に1回程度であっても、柔らかい便が出ていれば、問題はないでしょう。
母乳・ミルクを飲む量が減ると、その分うんちの量も減ってしまうからです。
温かいお風呂に入ると、赤ちゃんの筋肉がリラックスしてうんちが出やすくなります。お腹をやさしくマッサージしてあげましょう。
もし赤ちゃんがうんちが出なくて苦しそうにしている場合は、肛門刺激を考えます。
もし綿棒の先にうんちがあまりついてこないようであれば、うんちがないことを意味しますので、肛門刺激をしても意味がありません。
うんちが出なくて赤ちゃんが苦しそうにすることが続く、またうんちに血が混ざるようなことがあれば、かかりつけ医に相談してください。
まれに、腸の筋肉が本来の働きをしていない場合や、消化管の閉塞がある場合があり、検査が必要になることがあります。
これはいっぱい飲んだミルクを、ゲップのときなどに吐いてしまうことです。
通常は大量に吐くのではなく、口から溢れ出てくるように吐きます。
これに対し、嘔吐は胃のなかのものを一気に吐き出します。
大きくなった赤ちゃんでは、ウイルスなどの感染に伴う胃腸炎が原因となって吐くことが一般的ですが、新生児期の赤ちゃんの嘔吐の場合は、消化管の閉塞を原因として考えておく必要があります。
また食道と胃の間にある筋肉が十分に発達していないため、胃のなかに入ったミルクが容易に逆流すること(胃食道逆流症)もあります。
胃食道逆流症は、正常な赤ちゃんにもみられ、成長とともに改善していきます。
母乳栄養であれば、一回の授乳時間を少し短くし、回数を増やしてみます。
授乳後はしっかりとゲップをさせること、ゲップをしたあとは上体を起こし30分ほど様子をみましょう。
また胃の出口の通りが悪くなる肥厚性幽門狭窄症という病気は、生後2週〜4週間あたりで症状が出てきます。
なお嘔吐したあと、息苦しそうにしている場合は、急いで病院を受診してください。
また嘔吐が続くために体重が増えない、嘔吐すると血が混ざっていた、などの場合も、早めにかかりつけ医を受診することをお勧めします。
新生児期は、お母さんのお腹のなかの環境から外の環境へ移行する、人生のなかでもとても特殊な時期です。
心配なことは色々と起こりますが、早めにかかりつけ医に相談できるようにしておき、安心して育児に専念できるようにしてください。
【出典】
しかし、赤ちゃんの体になにかトラブルが発生すると、途端にどうすればよいのか、病院を受診する必要があるのか、色々と心配になるのでないでしょうか?
そこで、今回は生まれたばかりの赤ちゃんに起こりうるしゃっくり、黄疸、便秘・嘔吐について、原因や対処法についてご説明します。
目次
新生児のしゃっくり
まず赤ちゃんのしゃっくりについて、ご説明します。新生児のしゃっくり|原因
しゃっくりは、横隔膜がけいれんのように収縮することと声帯の急速な閉鎖によって引き起こされます。声帯の急速な閉鎖が、しゃっくりの音を作っています。
授乳に続いて起こることがあり、胃内の余分な空気を外に出すための反射だという説があります。
最近の研究では、しゃっくりが赤ちゃんの脳と呼吸の発達に重要な役割を果たしている可能性があることが示されています。
平均して生まれる10週間前からしゃっくりが始まっていることもわかっています。
新生児のしゃっくり|対処法
赤ちゃんはしゃっくりに邪魔されることなく眠ることができ、しゃっくりが赤ちゃんの呼吸に影響を与えることはほぼありません。もししばらく待ってもしゃっくりを続ける場合、以下のことを試してみましょう。
- ・ゲップをさせる
- ・母乳を飲ませる
- ・おしゃぶりを吸わせる
新生児のしゃっくり|病院受診のポイント
しゃっくりのために、受診する必要はありません。ただ何度も繰り返す場合は、胃食道逆流症と呼ばれる胃のなかのものが逆流しやすい状態にあるかもしれませんので、かかりつけ医に相談してみましょう。
新生児の黄疸
次に、新生児の黄疸についてご説明します。新生児の黄疸|原因
新生児黄疸とは、生まれたばかりの赤ちゃんの皮膚や目が黄色くなることです。赤ちゃんの血液中に、ビリルビンという物質が過剰に含まれているために起こります。
ビリルビンは、赤血球が壊れることで産生され、肝臓で除去され便に排出されています。また便中の一部は、再吸収されています。
全ての赤ちゃんの体内では、生まれてからしばらくするとビリルビンが産生されています。
元気な赤ちゃんでも起こる生理的黄疸は、生後数日からみられ、2週間以内に改善します。
多くが治療を必要としません。これは生まれたばかりで肝臓の機能が未熟なため、ビリルビンを十分に除去できないことが原因です。
一方、赤ちゃんの赤血球の異常、お母さんとの血液型の違い、赤ちゃんの肝臓の問題などが原因で黄疸になることもあります。
また母乳に含まれる成分が、ビリルビンの除去を遅らせることもありますし、ミルクの量が不足していて便秘になると、ビリルビンの再吸収が増えて黄疸になります。
新生児の黄疸|対処法
通常病院で生まれた赤ちゃんは、退院前に必ず黄疸のチェックを受けていますし、問題があれば退院後も医師が確認します。自宅での黄疸の確認方法を紹介します。
【自宅での黄疸の確認方法】
光の当たる場所で、赤ちゃんの額や鼻を軽く押してみましょう。
押した部分の皮膚が黄色く見える場合は、黄疸の可能性があります。
自宅でできる対処法は、積極的に授乳することです。光の当たる場所で、赤ちゃんの額や鼻を軽く押してみましょう。
押した部分の皮膚が黄色く見える場合は、黄疸の可能性があります。
基本的に母乳を勧めますが、母乳の量が十分ではないとき、少し人工ミルクを加える必要があるかもしれません。具体的には医師に相談することをお勧めします。
新生児の黄疸|病院受診のポイント
退院後に黄疸に気づいたら、必ず病院を受診してください。重症黄疸は赤ちゃんの脳に障害を残すことがあります。
病院ではビリルビンの値を測定するだけでなく、原因を見つけるための検査を行い、必要に応じて「光線療法」と呼ばれる青緑色の光を照射する治療を開始します。
また生後1か月前後にわかることが多い胆道閉鎖症という病気は、黄疸だけでなく白い便が出ることが特徴です。便が白いときも、必ず病院を受診しましょう。
新生児の便秘
次に、新生児にみられる便秘についてご説明します。新生児の便秘|原因
生まれてすぐの赤ちゃんは、通常24時間以内に胎便と呼ばれる黒いうんちをします。胎便がしっかりと出れば、赤ちゃんの消化管が閉塞していないことがわかります。
その後授乳が始まると、うんちをします。
母乳の場合 | 毎日3回〜4回 |
---|---|
ミルクの場合 | 毎日2回〜3回 |
母乳育児をしている赤ちゃんが、週に一度しかうんちをしないことは、完全に正常なことです。
赤ちゃんの便秘は、うんちの回数だけで判断するのではなく、うんちをするのがどれほど大変かも含めて判断します。
4日~5日に1回程度であっても、柔らかい便が出ていれば、問題はないでしょう。
新生児の便秘|対処法
まずはしっかりと授乳ができていることを確認しましょう。母乳・ミルクを飲む量が減ると、その分うんちの量も減ってしまうからです。
温かいお風呂に入ると、赤ちゃんの筋肉がリラックスしてうんちが出やすくなります。お腹をやさしくマッサージしてあげましょう。
もし赤ちゃんがうんちが出なくて苦しそうにしている場合は、肛門刺激を考えます。
【肛門刺激の方法】
綿棒の先にワセリンかオリーブ油を塗って滑りをよくし、先端から2cmほどまで肛門から挿入し、ぐるぐると回します。
※挿入の際は、仰向けにした赤ちゃんの両足を持ち上げてあげると入れやすくなります。
うまくいけば一気にうんちが出てきますので、汚れても大丈夫なように、おむつなどの準備をしておきましょう。綿棒の先にワセリンかオリーブ油を塗って滑りをよくし、先端から2cmほどまで肛門から挿入し、ぐるぐると回します。
※挿入の際は、仰向けにした赤ちゃんの両足を持ち上げてあげると入れやすくなります。
もし綿棒の先にうんちがあまりついてこないようであれば、うんちがないことを意味しますので、肛門刺激をしても意味がありません。
新生児の便秘|病院受診のポイント
自宅でできることをしてもうんちが出ないときは、かかりつけ医に相談してみましょう。うんちが出なくて赤ちゃんが苦しそうにすることが続く、またうんちに血が混ざるようなことがあれば、かかりつけ医に相談してください。
まれに、腸の筋肉が本来の働きをしていない場合や、消化管の閉塞がある場合があり、検査が必要になることがあります。
新生児の嘔吐
最後に、新生児期にみられる嘔吐についてご説明します。新生児の嘔吐|原因
新生児期の嘔吐のなかには、溢乳(いつにゅう)と呼ばれるものが含まれます。これはいっぱい飲んだミルクを、ゲップのときなどに吐いてしまうことです。
通常は大量に吐くのではなく、口から溢れ出てくるように吐きます。
これに対し、嘔吐は胃のなかのものを一気に吐き出します。
大きくなった赤ちゃんでは、ウイルスなどの感染に伴う胃腸炎が原因となって吐くことが一般的ですが、新生児期の赤ちゃんの嘔吐の場合は、消化管の閉塞を原因として考えておく必要があります。
また食道と胃の間にある筋肉が十分に発達していないため、胃のなかに入ったミルクが容易に逆流すること(胃食道逆流症)もあります。
胃食道逆流症は、正常な赤ちゃんにもみられ、成長とともに改善していきます。
新生児の嘔吐|対処法
溢乳(いつにゅう)を繰り返す場合は、一回の授乳量を減らし、回数を増やしてみるとよいでしょう。母乳栄養であれば、一回の授乳時間を少し短くし、回数を増やしてみます。
授乳後はしっかりとゲップをさせること、ゲップをしたあとは上体を起こし30分ほど様子をみましょう。
新生児の嘔吐|病院受診のポイント
消化管の閉塞が疑われる嘔吐は、できる限り急いで病院を受診してください。
【消化管の閉塞の特徴】
- ・吐物が濃い緑色をしている
- ・お腹がどんどん膨らんできている
- ・赤ちゃんの機嫌が悪く、ミルクも飲もうとしない
- ・意識が悪く、ぐったりしている
また胃の出口の通りが悪くなる肥厚性幽門狭窄症という病気は、生後2週〜4週間あたりで症状が出てきます。
【肥厚性幽門狭窄症の特徴】
吐いても元気にしていれば慌てる必要はありませんが、肥厚性幽門狭窄症に特徴的な吐き方をしているときは、早めにかかりつけ医に相談することをお勧めします。- ・授乳をしてしばらく経ってから、大量に吐く
- ・噴水のように一気に吐き出す
- ・吐いた後は機嫌よくしていることもある
なお嘔吐したあと、息苦しそうにしている場合は、急いで病院を受診してください。
また嘔吐が続くために体重が増えない、嘔吐すると血が混ざっていた、などの場合も、早めにかかりつけ医を受診することをお勧めします。
まとめ
新生児期の赤ちゃんによくみられる、しゃっくり、黄疸、便秘、嘔吐について、原因、対処法、また病院を受診するポイントについてご説明しました。新生児期は、お母さんのお腹のなかの環境から外の環境へ移行する、人生のなかでもとても特殊な時期です。
心配なことは色々と起こりますが、早めにかかりつけ医に相談できるようにしておき、安心して育児に専念できるようにしてください。
【出典】
Whitehead K, et al. Event-related potentials following contraction of respiratory muscles in pre-term and full-term infants. Clinical Neurophysiology. 2019;130:2216-21.
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