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【小児科医師執筆】赤ちゃんの病院|何科に行けば?迷ったときの受診の目安!小児科・耳鼻科・皮膚科

【小児科医師執筆】赤ちゃんの病院|何科に行けば?迷ったときの受診の目安!小児科・耳鼻科・皮膚科

この記事の監修医

井上 信明 先生

井上 信明先生

資格・経歴

日本小児科専門医、小児科指導医、アメリカ小児科専門医、 小児救急専門医。公衆衛生学修士(国際保健)

奈良県出身。奈良県立医科大学卒。日本、アメリカ、オーストラリアにて小児科、小児救急医療を研修。日本だけでなく、特にアジアの子どもたちが、安全で安心できる環境で育つことができる社会づくりを目指しています。

赤ちゃんが元気なときは気になることはありませんが、熱が出た、鼻水が出た、発疹が出たなど、トラブルが発生したとき、病院に行った方がよいのか、何科に行けばよいのか、迷ってしまうことがあるのではないでしょうか?
そこで今回は、赤ちゃんのかかりつけ医を持つ重要性、また受診を迷ったときにどのように判断するのがよいのかについて、ご説明したいと思います。

まず赤ちゃんにもかかりつけ医を持ちましょう

赤ちゃんは、生まれて間もなくすると予防接種が始まります。そして最初の1年間は、5回〜6回は予防接種のために病院に行くことになります。
また一般的には5歳〜6歳くらいまでは、毎年数回は熱を出します。
つまり、生まれてから成長の過程で、何度も病院を受診する機会があります。
健診も含めて、同じ医師にいつも診てもらうようにしておくと、赤ちゃんの成長の過程を知ってもらうことができますので、安心ができます。
かかりつけ医を持っておくと、何か心配事があると気軽に相談ができるメリットがあります。
赤ちゃんのかかりつけ医を見つけるときは、以下のようなポイントを参考にしてください。

かかりつけ医を見つけるための3つのポイント

● 受診が容易にできる
何度も受診をすることになりますので、できる限りアクセスがよいところをお勧めします。
かかりつけ医は、お近くのクリニックから探すのがよいでしょう。
クリニックは外来での診療が中心であり、検査や処置も最低限のものを準備してはいますが、通常入院はできません。しかし赤ちゃんが必要とする医療のほとんどは、クリニックで提供できます。
病院には入院できる設備がありますが、その分入院を必要とする重症な患者さんの対応を主にしています。
クリニックで対応できない検査が必要であったり、入院が必要となったりすると、通常はクリニックから入院できる病院へ紹介してもらうことが可能です。

● 小児科専門医がいる
小児科専門医は生まれたばかりの赤ちゃんから成人するまでの子どものあらゆる病気に対応することができます。
専門医の資格を持っているということは、小児科の診療について一定の基準をクリアしたことになります。
また現在では、専門医の資格を維持するために一定数の患者さんの診療を行い、学会などを通じて勉強していることが条件となっています。
専門医を持っているということは、資格を取得したあとも、専門性を維持するために継続して勉強している証しでもあります。
絶対に必要というわけではありませんが、専門医資格を持っているということは、ひとつの判断材料になります。

なお最近では総合診療医という専門医資格もあります。総合診療医は内科に近い診療科と思われがちですが、赤ちゃんにも対応できるように研修を受けています。
お近くに小児科専門医がいない場合は、総合診療医を探してみるのも一案です。

● 相談しやすい
困ったときに相談する相手ですから、相談しづらい医師は避けたほうがよいでしょう。
どうしても相性というものがありますので、このあたりは口コミサイトなどを参考にするのではなく、ご自身で実際に受診をして考えるのがよいと思います。
また受付の方や看護師など、スタッフの対応も気になる方は、判断の材料にされるとよいでしょう。

赤ちゃんを何科に連れて行く? 迷ったときの受診の目安|小児科・耳鼻科・皮膚科

赤ちゃんを何科に連れて行く?
迷ったときの受診の目安|小児科・耳鼻科・皮膚科

次に、赤ちゃんを病院に連れて行く受診の目安、また受診先を決めるときの判断のポイントをご紹介します。

迷ったときの【小児科】受診の目安

小児科を受診する目安をご紹介します。
まず、
赤ちゃんがぐったりしている、呼吸が苦しそう、痛みが強くて苦しんでいるなど、赤ちゃんの様子がおかしいと感じるときは、夜間でも救急受診すべき状態です。
保護者が「いつもと様子が違う、何かおかしい」という感覚は、赤ちゃんの重症感染症を見抜く重要な所見であることが、過去の研究からわかっています。
ただし熱があっても、赤ちゃんの機嫌がよく、ぐったりしていなければ、急いで受診をする必要はなく、翌朝の受診で問題はありません。
また、鼻水や発疹が出ていたとしても、熱など全身の症状があれば、小児科医を受診することをお勧めします。
迷うことがあれば、かかりつけ医の小児科医に相談するのがよいでしょう。
【出典】


Harley A, et al. Sepsis in children: A literature review. Front Pediatr. 2019 May 3;7:161. Doi:10.3389/fped.2019.00161.eCollection 2019.

迷ったときの【耳鼻科】受診の目安

耳鼻科は、耳・鼻・のどを守備範囲とする専門医です。
したがって耳・鼻・のどの症状が中心のときは耳鼻科を受診するとよいでしょう。 特に耳が痛い、耳や鼻におもちゃを詰めてしまった、などのときは、耳や鼻を診療する特別な器具を持っている耳鼻科のほうが、より適切に診療ができる可能性があります。
アレルギーも、鼻の症状が中心であれば耳鼻科に相談することは全く問題ありません。

迷ったときの【皮膚科】受診の目安

皮膚科は皮膚の問題に関する専門医です。
したがって皮膚に関する症状が中心のときは、皮膚科を受診するとよいでしょう。

何科を受診すべきか迷うときは受診支援サービスを活用

何科を受診すべきか迷うときは受診支援サービスを活用

それでも何科を受診すべきか迷うとき、またかかりつけ医に相談できない状況であれば、受診支援サービスを活用しましょう。
● 子ども医療電話相談事業(#8000)
休日や夜間、赤ちゃんの病気のことでどのように対処してよいかわからないとき、小児科の医師や看護師に電話で相談できます。
全国統一の電話番号#8000にかけると、住んでいる都道府県の相談室に転送され、話を聞くことができます。
ただし一部の都道府県では24時間対応していないこともありますので、事前に確認をしておくのがよいでしょう。

【参考】厚生労働省
子ども医療電話相談事業(#8000)について
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html

● 救急安心センター事業(#7119)
すぐに病院に行くべきか、救急車を呼ぶべきか、判断に迷うときに使うことができるのが救急安心センター事業(#7119)です。
救急車を呼ぶ必要がない、と判断された場合は、住んでいる地域の受診可能な医療機関を教えてくれることもあります。
こちらは子どもに限らず大人の相談も可能です。
ただし、この事業はまだ一部の都道府県でしか行われていません。

【参考】総務省消防庁
救急車の適正利用 救急安心センター事業(#7119)をもっと詳しく
https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/appropriate008.html#7119-06

オンライン診療・受診支援アプリ

#8000や#7119がなかなかつながらないときは、オンラインで相談できるサービスの使用や専門医が監修した受診支援アプリの使用も考えてみましょう。
● 小児科オンライン
平日の夕方から夜にかけての時間、LINEや電話で相談ができます。
【参考】https://syounika.jp
● キッズドクター
オンライン診療や首都圏の夜間往診にも対応しています。
【参考】https://kids-doctor.jp
● オンラインこどもの救急
日本小児科学会が監修したサイトです。
【参考】http://kodomo-qq.jp
● 教えて!ドクター
長野県の佐久医師会によるプロジェクトです。アプリもあります。
【参考】https://oshiete-dr.net

まとめ

赤ちゃんのかかりつけ医を持つ重要性、またかかりつけ医の見つけ方もご紹介しました。
アメリカでは、赤ちゃんのかかりつけ医は赤ちゃんが生まれる前から決めていることが一般的です。
赤ちゃんが生まれ、家に帰った直後から心配なことが出てきてもすぐに相談できるように、できるだけ早い時期にかかりつけ医を見つけておかれることをお勧めします。