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【小児科医師執筆】新型コロナウィルス!赤ちゃんとの外出の注意点・外出しない影響

【小児科医師執筆】新型コロナウィルス!赤ちゃんとの外出の注意点・外出しない影響

新型コロナウイルスが世界に蔓延し、私たちの生活様式そのものを変えてしまったと言っても過言ではないでしょう。
なかなか外出できないなか、ストレスを抱えておられるお父さん、お母さんもおられるのではないかと思います。
今回は、現時点でわかっている新型コロナウイルスの赤ちゃんへの影響について説明をします。

新型コロナウイルスの赤ちゃんへの影響

まず新型コロナウイルスの赤ちゃんの体や心に対する影響について、分かっている範囲でご説明します。

新型コロナウイルス|赤ちゃんの身体への影響

赤ちゃんも新型コロナウイルスに感染し、病気を発症する可能性があります
ただし、その多くは症状がありません。
発病したとしても、微熱、疲れやすい、咳などの軽い症状にとどまる傾向があります。重度の合併症を起こした子どももいますが、あまり一般的ではありません。
ただし、
心臓や呼吸、また血液や代謝系などの基礎疾患を持つ子どもたちは、重症化のリスクが高い可能性があります。
また非常にまれですが、1歳未満の赤ちゃんは、それ以上の年齢の子どもよりも新型コロナウイルスで重症化するリスクが高い可能性が分かってきました。
これは、小さい赤ちゃんは免疫システムが未熟であり、かつ気道が小さいために、新型コロナウイルスに限らず呼吸器ウイルス感染症で呼吸障害を起こしやすいことが原因と考えられます。

なお、出産時近くに新型コロナウイルスを発症したお母さんから生まれた赤ちゃんのうち、生後数日でウイルスが陽性になったのは2~5%程度でした。現在のところ、新型コロナウイルスに感染していたお母さんから生まれた赤ちゃんには、基本的に問題は起こらないと考えられています。

一方、赤ちゃんにみられる合併症に、小児多系統炎症性症候群(MIS-C)と呼ばれる病気があります。この病気は、心臓やその他の臓器に生命を脅かすような問題を引き起こす可能性があります。日本人に多い川崎病と症状が似ているとされていますが、小児多系統炎症性症候群(MIS-C)が日本人に多いというわけではありません。熱や発疹に加え、目が充血し、リンパ節が腫れる特徴的な症状がみられます。

新型コロナウイルス|赤ちゃんの精神面への影響

新型コロナウイルスの感染拡大が、赤ちゃんの精神面に与える影響はまだよくわかっていません。
幼稚園に通う年代の子どもには、在宅期間が長くなることで行動が過激になるなど、精神面への影響が起こっている可能性が指摘されていますが、長期的な影響についてはまだわかりません。

赤ちゃんと外出時の注意点

赤ちゃんと外出時の注意点

次に、新型コロナウイルス感染の影響がある状況で外出するときの注意点をご説明します。

外出の影響

多くの赤ちゃんは、新型コロナウイルスに感染しても症状がない、あるいは軽い症状で済みますが、感染しにくいというわけではありません。
最近の研究では、ウイルスの量と病気の重症度は関係がなく、感染した赤ちゃんにもしっかりと新型コロナウイルスが存在していることが分かっています。
つまり外出することは、赤ちゃんも他の人からウイルスをもらう可能性が十分にありますし、症状がないまま外出することで、他の人に伝染させる可能性があるということです。

ただし、子どもが感染する場合、多くは家庭内であることも分かっています。子どもが持ち込むとは限らず、保護者が家庭に持ち込むことも十分にあります。
したがって、あとでご説明するように帰宅時に手と顔を洗うことは非常に重要です。

マスクの着用と手洗い

外出時、小さい赤ちゃんがマスクを使用することは、感染予防の面でも安全の面からも現実的ではありません。
一般的には、3〜4歳くらいからはマスクを使っても問題がないとされています。

マスクをしないままの外出は気になるかもしれませんが、ウイルスをもらわないようにするためには、
・外出時も特に何かを食べる前には手洗いをすること
・外出から帰ったら手洗いをすること
・外出から帰ったら顔もしっかりと洗うこと
これらが有用です。
新型コロナウイルスは、主に私たちの鼻やのどの奥の粘膜から私たちの体のなかに侵入してきますが、顔を洗うこと、また顔の周りに手をつける前に手洗いをすることで、ウイルスを体内に取り込む危険性を減らすことができると考えられています。

なお手洗いは石けんで十分ですが、20〜30秒はしっかりと洗うようにしましょう。
外出時は、アルコールジェルなどを用いても構いません。

人混みを避ける

新型コロナウイルスは、
2m以内の距離で感染することが多い
とされています。
つまり他の人と2m以上の距離を保つことができれば、通常は問題ないということができます。

外出時は人混みを避けることを意識することができれば、心配は要りません。近くの公園で遊ぶくらいは、問題ありません。
赤ちゃんと外出時の注意点

新型コロナウィルス流行時における乳児健診や予防接種はどうする?

特に生まれてから2歳になるまで、赤ちゃんは定期で接種すべき予防接種が多くあります。
また健診もあります。

確かに不要不急の外出は避けるべきですが、乳児健診や予防接種は、「不要」な外出ではありません。

むしろ接種や健診が遅れることで、防ぐことができる感染症を防ぐことができなくなり、発達の遅れに気づかれないまま成長してしまう危険性があります。
控えるべき外出ではないので、受診をお勧めします。

もしご心配であれば、かかりつけ医に相談してみてください。周囲の感染の流行状況に合わせ、クリニックで適切な予防対策が取られているはずですので、相談することで安心できます。

まとめ

新型コロナウイルス感染症が、赤ちゃんに与える影響について、現時点で分かっている範囲でご説明しました。
ウイルスが変異したことで、赤ちゃんの病気の発症が増える可能性が懸念されていますが、人との距離を保つ、帰宅時は手と顔を洗うという対策は変わりません。
そしてこれらの対策は、新型コロナウイルスに限らず、インフルエンザなど他のウイルス感染症でも当てはまることです。
正しく恐れ、正しく対処することで対応できるものですので、みなさん一緒に乗り越えていきましょう。