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【小児科医師監修】新生児とは?赤ちゃんの成長・発達・睡眠時間・授乳と生活リズム

【医師監修】新生児とは?赤ちゃんの成長・発達・睡眠時間・授乳と生活リズム

この記事の監修医

木村 眞樹子 先生

資格・経歴

内科専門医 循環器専門医 睡眠専門医 産業医

医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事。 産業医として企業の健康経営にもかかわる。 医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。

生まれた日を0日として、生後28日までの赤ちゃんを「新生児」と呼びます。生まれたばかりの赤ちゃんは、小さくてふにゃふにゃで、とても繊細な存在です。ママやパパは、赤ちゃんが無事に生まれてきてくれたことに大きな喜びを感じるとともに、この大切な命を守り育てていくためにどう過ごしたらいいか、戸惑うこともあるかもしれません。
これからママが安心して赤ちゃんとの生活を楽しむために、新生児の時期の赤ちゃんの成長の様子や生活について見ていきましょう。

【新生児】赤ちゃんの身体とは

生まれたばかりの赤ちゃんの体は、どのような状態なのかを解説していきます。

新生児はまだ視力が弱く、色の認識も未発達のため、目に映るものが白、黒、グレーに見えています。見える範囲も狭く、遠くにあるものは視界に入りません。
目からだいたい25㎝くらいまでが見える範囲になるので、新生児をあやす時や声をかける時は、なるべく顔を近づけてみましょう。

妊娠8か月ごろになると、胎児の耳は聴こえるようになってくると言われています。お腹に向かって話しかける声が、もう赤ちゃんに届いていると思うと不思議な感覚ですね。生まれる前から一番近くで聴き慣れたママの声が、生まれてからの安心感につながっているかもしれません。

赤ちゃんの鼻は、生まれてすぐにママや母乳の匂いを感じ取れる嗅覚を持っています。
また、新生児の時期には口呼吸ができないため鼻だけで呼吸をしています。鼻づまりによって呼吸困難になってしまわないよう、赤ちゃんの鼻には特に気をつけてあげましょう。

新生児は、頭頂部にある骨がくっついておらず「大泉門」という部分が開いています。
柔らかく、脳が骨でおおわれていない状態なので無理に押したりしないように注意してください。
生まれてから1年ほどの間に脳は急激に発達し、その成長にともなって頭部の骨も大きくなり、1歳半ごろまでに自然と閉じていきます。

体温

新生児の体温は高く、36.5~37.5℃が平熱です。自分で体温を調節する機能はまだできあがっていないため、赤ちゃんが汗をかいていないか、手足が冷たくなっていないかなど、こまめにチェックして、その都度着るものやお布団を適したものにしてあげましょう。

新生児に見られる生理現象

新生児に見られる生理現象

新生児には、この時期特有の現象が多く見られます。ここでは具体的にどのようなものがあるのかを解説していきます。

生理的体重減少

赤ちゃんは生まれてくる時に身体にある程度の水分を蓄えて出てきます。
生後間もなく、一時的に体重が減少することがあり、「生理的体重減少」といいます。生後数日間は母乳などを飲む量より排せつ量が多くなることにより起こりますが、生後1週間ほどすると戻り、その後増えていくようなら心配ありません。

生理的黄疸

生後間もなく赤ちゃんの肌が黄色くなることがあり、異常がなければ数日で落ち着きます。
経過を観察する中で基準値を超えると医師が判断すれば、光線治療を行うことがあります。

新生児微笑

新生児期の赤ちゃんは、感情や外からの刺激とは関係なく数秒にっこりと笑顔のような表情を見せることがあります。これを「新生児微笑(生理的微笑)」と呼びます。
原因はわかっていませんが、生後2か月ごろにはこの現象は見られなくなり、発達とともに感情をともなう「社会的微笑」を見せてくれるようになります。

新生児微笑

新生児の特徴|原始反射とは

新生児期には、生まれた時から備わっている「原始反射」という特徴のある反応が見られます。これらは月齢が上がっていくにつれて自然と消失していくものですが、以下のような様々な種類があります。

● モロー反射
大きな音などの刺激があると、両手を広げて体をビクッとさせ、抱きつくような動作をすること。

● 把握反射
赤ちゃんの手のひらや足の裏を軽く押すと、握り返すように折り曲げる動作。

● 吸啜(きゅうてつ)反射
乳首や指を赤ちゃんの口に入れると、規則的に口を動かして強く吸いつく反応。

● 探索反射
赤ちゃんの口や頬に軽く触れると、探すようにそちらの方向を向く反応。これによって、授乳の時におっぱいを近づけると、乳首をくわえることができます。

● 原始歩行
赤ちゃんの両脇の下を持って床に足をつけると、自分で両足を交互に動かして歩くような動きを見せること。

赤ちゃんは吸啜反射や探索反射ができることによって、誰に教わることがなくても自然とおっぱいを飲む動作ができるようになっています。小さくても、生きていくために必要な力を生まれながらにして持っている赤ちゃんはすごいですね。
また、寝ている間にもお口で吸うような動きを見せたり、指をぎゅっと握り返してくれたりする反応は、新生児ならではの可愛さがありママやパパを幸せな気持ちにしてくれることでしょう。

新生児の特徴|原始反射とは

【新生児】赤ちゃんの生活リズム

【新生児】赤ちゃんの授乳間隔は?

新生児の時期は、だいたい1~3時間おきの間隔で、頻回の授乳をすることになります。赤ちゃん自身の吸う力がまだ弱かったり、吸い方がすぐには上手にならなかったりすることもあり、ママの母乳の分泌量にかかわらず、十分に飲めていない場合もあります。また、飲む量もはじめは少量のため、すぐにお腹がすいてしまい、1時間もたたないうちにで欲しがることも珍しくありません。
ママの母乳に関しても、最初のうちはあまり量が出なかったり、分泌されていても乳腺の開きが追い付かずにたまってしまったりと、産後すぐには安定しないことも多いです。自然と安定していく場合もありますが、セルフマッサージなどで促し、トラブルを予防しましょう。赤ちゃんもママも次第に慣れ、少しずつ授乳が軌道に乗っていくことでしょう。ただ、個人差も大きいので心配があれば助産師さんや母乳外来に相談しましょう。
完全母乳、混合、完全ミルクと選択肢があるため、赤ちゃんの体重の増え方や排せつの状態などをチェックしながら、それぞれに合った方法で授乳をしていきましょう。

【新生児】赤ちゃんの睡眠時間は?

新生児期の赤ちゃんは、1日の中のほとんどの時間を眠って過ごします。基本的には、お腹が空いたり排せつして気持ち悪かったりする時に泣いて起き、授乳やおむつ替えが済んで気持ちよくなると眠りにつく、ということの繰り返しになる日々が続きます。
まだ外の世界に慣れないため、昼と夜の区別がつかず、やっと眠ったと思ったら1時間ほどで目を覚ますこともあります。よく眠る赤ちゃん、よく起きる赤ちゃんといった個人差もあり、その日のコンディションによって違うこともあるので、一緒に生活するママも睡眠が細切れになりがちです。お昼でも、赤ちゃんが寝ている間にしっかり休みましょう。
月齢が上がるにつれて徐々に生活リズムができ、夜に長く眠れるようになっていきます。

新生児の赤ちゃんとの生活スケジュール

新生児の赤ちゃんとの生活スケジュール

【新生児】赤ちゃんとママの過ごし方は?

新生児とママが過ごす1日のスケジュールの一例を参考までに記しています。
7:00 起床・授乳
8:00 遊び
日光が入る部屋で、朝がきたことを教えてあげましょう
9:00 睡眠
午前や日中のお昼寝の際は、あえて暗い部屋に移動する必要はありません
10:00 授乳
11:00 睡眠
ママも一緒に休んでおきましょう
12:00 睡眠
13:00 授乳
14:00 遊び
15:00 睡眠
16:00 授乳
17:00 睡眠
18:00 沐浴
19:00 授乳・ねかしつけ
22:00 授乳
1:00 授乳
4:00 授乳
夜の睡眠中は赤ちゃんの様子を見て3時間おきに授乳をしてもよいでしょう。
生後間もないころは、昼夜の区別はつかず、時間に関係なく寝たり起きたりします。一般的に母乳のみで育つ赤ちゃんより、ミルクを飲む赤ちゃんは睡眠時間が長くなりやすいですが、この時期は時間に対して神経質になりすぎず、赤ちゃんのペースに合わせながら過ごしましょう。
生後1か月ごろまでは大人のお風呂には入らず、ベビーバスなどを使って沐浴を行います。赤ちゃんに声をかけて安心させてあげながら、優しい手つきで赤ちゃんの身体を清潔にしてあげましょう。

【新生児】赤ちゃんとの生活の注意点

抱っこ

新生児はまだ首がすわっておらず、身体の筋肉も未熟です。抱っこの仕方には横抱きや縦抱きなどがありますが、いずれの場合も首と体をそれぞれしっかりと支え、抱っこする人の体に密着させるようにしましょう。

おむつかぶれ

赤ちゃんのおむつの中は湿気がこもりやすく、薄く繊細な赤ちゃんの肌はかぶれてしまうことがあります。おしっこも頻繁に出るのでこまめにチェックして交換して清潔を保ち、トラブルを予防しましょう。赤くかぶれる状態がよくならなければ、新生児から使える塗り薬を処方してもらいましょう。

添い寝

赤ちゃんの様子がすぐにわかるようにと、添い寝をするママは多いでしょう。環境や状態によっては危険な場合もあるので、添い寝をする場合はよく注意をした上で行ってください。ベッドから転落したり寝具に挟まったりする可能性のある場所には赤ちゃんを寝かせず、十分に安全を確保しましょう。また、タオルやぬいぐるみなども寝ている赤ちゃんの近くには置かないようにし、窒息のリスクも回避します。添い寝する人が赤ちゃんを圧迫するような体勢にならないよう注意も必要です。

新生児のママが気を付けるべきこと

新生児のママが気を付けるべきこと

ママの身体の状態

産後すぐから、ママの身体が妊娠前の状態に戻るまでの期間を「産褥(さんじょく)期」といいます。
妊娠、分娩を経て大きく変化する母体は、「交通事故に遭ったような状態」と比喩されることもあるほど負担がかかっています。この時期は、赤ちゃんのお世話もあり大変ですが、ママの身体を回復させることもとても大切です。家事などで無理をすることのないように気をつけましょう。

睡眠

昼夜問わず授乳やおむつ替えが必要になるため、お世話をしているママは夜中に何度も目を覚まさなくてはいけなくなり、まとまった時間の睡眠をとることが難しい時期でもあります。生活リズムが安定しないため、ママにとっては産後の回復しきらない身体の状態に睡眠不足が加わり精神的な疲労が重なってしまうかもしれません。
パパや里帰り先の家族に積極的にフォローをお願いし、お世話を代わってもらう時間を作ったり、夜間の授乳やおむつ替えの負担が軽くなるように、家具やグッズの配置を工夫しておくなどして、少しでも睡眠時間を長く確保できるようにしましょう。

まとめ

生まれたての新生児はとても小さく、この時だけの特徴があり、見るのも触れるのも貴重で神聖に感じられる存在といえますね。赤ちゃんと過ごす毎日は幸せにあふれる一方で、ママやパパはこれまでの生活が一変したことによる不安や疲れを感じることもあるかもしれません。
誰かに相談したり、少しずつ息抜きしたりしながら少しでも毎日の負担を軽くし、この特別な時期の赤ちゃんのそばにいられることを楽しみましょう。

著者:川原 恵

保育士、幼稚園教諭2種免許
フラワーアレンジメントディプロマ取得

同志社大学卒業後、某大学附属校で7年間勤務。
幼稚園教諭として勤務経験(担任経験)あり。
フルタイム勤務をしながら通信制大学において資格を取得。
子どもと一緒に楽しむことが好きな、三児の母。育児中の経験を活かしフリーライターとして活動しています。