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ごっこ遊び

【小児科医師執筆】赤ちゃん・乳幼児のコミュニケーション能力|ごっこ遊びの効果とは?

この記事の監修医

井上 信明 先生

井上 信明先生

資格・経歴

日本小児科専門医、小児科指導医、アメリカ小児科専門医、 小児救急専門医。公衆衛生学修士(国際保健)

奈良県出身。奈良県立医科大学卒。日本、アメリカ、オーストラリアにて小児科、小児救急医療を研修。日本だけでなく、特にアジアの子どもたちが、安全で安心できる環境で育つことができる社会づくりを目指しています。

多くの仕事をグループで行う現代社会では、コミュニケーション能力は、注目されている必須能力といっても過言ではないでしょう。

子どもが小さいときから、コミュニケーション能力を向上させるために、できることに取り組みたいと考える方もおられるかもしれません。

そこでこの記事では、コミュニケーション能力とはどのような能力なのか、そして子どものコミュニケーション能力を向上させるために、特に「ごっこ遊び」に注目して詳しくご説明します。

コミュニケーション能力とは?

ではまずコミュニケーション能力について説明し、なぜコミュニケーション能力が重要なのかについて、ご説明します。

効果的なコミュニケーション能力とは

職場でも家庭でも、最も重要なスキルの一つは、コミュニケーション能力です。

効果的なコミュニケーションには

・「聞いて理解する力」
・「伝える力」

が重要です。

それ以外にも、コミュニケーションには欠かせないスキルがあります。

人の話をよく聞くこと

耳で聞くだけでなく、相手が何を言っているのかを理解できることを意味します。

相手が考えていることを伝えているときには、相手の話に注意を払って聞くことで、関係性を築くことができます。

共感性を持つこと

共感とは、

・相手の立場に立って物事を見ること
・相手を理解すること

です。

自分の考え方で判断するのではなく、相手の立場になって考えてみましょう。

難しいかもしれませんが、他の人と共感することで、お互いのアイデアをよりよいものにすることが可能になります。

ボディランゲージ(非言語コミュニケーション)

ボディランゲージは、非言語コミュニケーションとも言われます。

誰かと話している間の大半の時間はアイコンタクトを保つようにし、より明確に考えを伝えるためにハンドジェスチャーを使用し、また笑顔も交えます。

笑顔が多い人は、より親しみやすく、信頼できる人とみなされます。

これらの効果的なコミュニケーションスキルの多くは、わたしたちが成長の過程で自然に身につけるものでもありますが、いくつかは学び、何度も繰り返し練習する必要があるかもしれません。

コミュニケーション能力の重要性

わたしたちは、生まれた時から周囲の人たちとコミュニケーションをとっています。

例えば赤ちゃんは親の注意を引くために、泣くことで何かしら問題が発生しているという情報を伝えています。

優れたコミュニケーション能力を身につけていると、人生のあらゆる局面で周りにいる人たちや自分の持つ情報を正確、かつ迅速に理解することが可能になり、問題を解決していくことにつながります。

逆にコミュニケーション能力が低いと、頻繁に相手のことを誤解し、容易に問題を解決することが困難になってしまいます。

このように、コミュニケーション能力を向上させることは、現在社会で生活していく上で非常に重要なことだといえます。

コミュニケーション能力の重要性

コミュニケーション能力を向上させるためにできること|ごっこ遊び

では、赤ちゃんのコミュニケーション能力を向上させるためにできる「ごっこ遊び」について、解説します。

赤ちゃん・乳幼児のごっこ遊びとは?

「ごっこ遊び」とは、簡単に言えばロールプレイです。

安全な環境の中で、ポジティブな感情やネガティブな感情を表現し、想像力豊かに遊ぶことができます。

【例】
・プリンセスになりきる
・悪い敵を倒す
・リビングルームの星空の下でキャンプをする

想像力豊かな遊びは、自由な空想の遊びでもあります。

ごっこ遊びを通し、赤ちゃんや乳幼児は、この世界を理解していくことも可能です。

赤ちゃん・乳幼児のごっこ遊びの準備

まずごっこ遊びをする際に、

・家全体を使うことができるのかどうか
・部屋の一部だけを遊びのスペースとして使用するのか

などごっこ遊びで使用するエリアを決め、安全を確認しておきましょう。

もし使うことができるスペースが限られている場合は、キッチンテーブルの下を使ってみることも一つの方法です。

ごっこ遊びのためにお金をかける必要はありません。

ダンボール箱は、いろいろなものに変身することが出来ます。

【例】
・ボート
・レースカー
・人形の家
・別世界へのトンネルの入り口

このように、段ボールはお父さん、お母さん、お子さんが思いつくものに変身させて遊ぶことができます。

ただしごっこ遊びに使うものがすべて安全で、子どもの年齢に合ったものであることを確認しておきましょう。

赤ちゃんからできるごっこ遊び

まねっこ遊び

赤ちゃんが発する音、例えばクークーやマーマーという音を真似して返してみましょう。

赤ちゃんが笑ったら、笑顔を返してあげましょう。

このように反応することは、赤ちゃんの社会性と情動のスキルを補強することができます。

読み聞かせ・なりきり遊び

お話を読んだり、声に出して歌ったりしましょう。

状況に合わせて動物や人物になりきり、声や表情を変えてみましょう。

さまざまなリズムを取り入れて、赤ちゃんが音に合わせて体を動かすのを助けてあげましょう。

「いないいないばあ」の遊び

「いないいないばあ」の遊びをしてみましょう。

これはとても大切な、脳を育てるゲームです。

「今は見えているけど、今は見えていない」という状況が、赤ちゃんの笑い声を生み出す様子を楽しむことができます。

おもちゃを使う遊び

赤ちゃんにさまざまな形の明るくカラフルなおもちゃを見せてあげましょう。

赤ちゃんにこれらのおもちゃを

・持たせる
・口に入れる
・探させる

などしてみましょう。

(ただし、赤ちゃんが遊んでも安全なものであることを確認してください)

子どもの想像力に限界はなく、おもちゃを何かに見立ててごっこ遊びが広がることもあります。

おもちゃを使う遊び

2歳頃の会話が出来るようになったらできるごっこ遊び

生まれてから様々な場所を経験し、いろいろな環境、キャラクターに触れている年齢です。

・公園
・スーパー
・図書館
・動物園

このような場所を経験し、観察がうまくなっています。

想像力を膨らまして新しい背景を探ったりしましょう。

散歩遊び

短い散歩に出かけましょう。

散歩しながら、質問をしてみましょう。

小さな虫を指して、もし自分がその虫だったらどんな生活をしているのか、子どもに聞いてみましょう。

・○○ちゃんがあんなに小さいかったら何をする?
・あの虫さんからみたら○○ちゃんはどれくらい大きいのかな?
・雨が降ったら虫さんはどこに行くのかな?

このように、想像力を膨らませておしゃべりを楽しむのもいいですね。

おうちピクニック

家のなかでピクニックやティーパーティーなどをします。

おうちにあるぬいぐるみやスーパーヒーローのフィギュアなどを招待して参加させましょう。

想像力を膨らまし、キャラクターになりきって遊ぶことができるでしょう。

普段より遊びが広がるかもしれません。

読み聞かせ・劇遊び

定期的に読み聞かせをしましょう。

後日、お子さんに物語の内容を説明してもらい、それを演じてもらいます。

ここから、お子さんの内面の感情や世界観を知ることができます。

読み聞かせ

音楽遊び

一緒に歌を歌ったり、リズムをとったりしましょう。

家の中にある物を見つけて、音楽バンドを作ります。

空のバケツと木のスプーンでドラムができます。

空の靴箱に輪ゴムを巻けばギターができます。

空き缶に小銭を入れて蓋をすれば、マラカスができあがります。

赤ちゃん・乳幼児と親子で行うごっこ遊びの効果

子どもの生活に想像力豊かなごっこ遊びを取り入れる最も重要な目的の一つは、子どもにとって安全で温かい関係性を作りあげることです。

子どもに押し付けるように何か教えることではありません。

一緒に創造的で自由なごっこ遊びをすることで、子どもたちは

・社会的な絆
・他者を尊重してコミュニケーションをとること
・自分と他者の感情のバランスをとること

を学びます。

またお父さん、お母さんにとっては、子どものなかに芽生えた興味を観察し、子どもがどのようにコミュニケーションをとるのかをよりよく理解することができます。

ごっこ遊びは親子の絆を強め、安定した人間関係を作ります。

親子で一緒に健康的な想像力豊かな遊びをすることで、多くのメリットが得られます。

上記に挙げたものに加えて、想像力豊かなごっこ遊びには、以下のような効果があります。

・子どもの不安感を軽減する
・感情を高める
・交渉力・共有力を練習・習得する
・感情を表現し、探求する
・論理的推論力を発揮する
・集中力が高まる

ごっこ遊びの効果

まとめ

コミュニケーション能力の重要性、また赤ちゃんがコミュニケーション能力を向上させるために取り組むことができるごっこ遊びについて、ご説明しました。

あまり難しく考える必要はありません。

子どもがごっこ遊びに誘ってきたら、迷わず一緒に遊んであげてください。

毎日、たとえ15分でもいいので、子どもと一緒に遊ぶようにしましょう。

そしてごっこ遊びをしているときは、お子さんが何をしても興味を示してあげてください。

そしてお子さんに主導権を握らせてあげましょう。

この取り組みが、お子さんの将来のコミュニケーション能力の向上に役立つことを願っています。