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運動神経 遊び

【小児科医師執筆】運動神経とは?|乳幼児から出来る体のバランス感覚を鍛えるオススメの遊び

この記事の監修医

井上 信明 先生

井上 信明先生

資格・経歴

日本小児科専門医、小児科指導医、アメリカ小児科専門医、 小児救急専門医。公衆衛生学修士(国際保健)

奈良県出身。奈良県立医科大学卒。日本、アメリカ、オーストラリアにて小児科、小児救急医療を研修。日本だけでなく、特にアジアの子どもたちが、安全で安心できる環境で育つことができる社会づくりを目指しています。

ラグビーワールドカップやオリンピックが話題になり、世界のアスリートたちを身近に感じる機会が増えたのではないでしょうか?

無限の可能性を秘めている赤ちゃんにも、ぜひ小さいときから運動神経を鍛え、スポーツを楽しむことができるように育ってほしい、そのように願う方がおられるかもしれません。

そこで今回の記事では、運動神経について、またさまざまな運動をするときに基本となるバランス感覚について、どのようにすれば赤ちゃんでも鍛えることができるのか、ご紹介したいと思います。

運動神経・バランス感覚とは

ではそもそも運動神経とは何を意味しているのか、また運動神経を鍛えるメリットについてご説明しておきます。

運動神経とは?運動神経が良いって?

医学的に運動神経とは、身体の筋肉の動きを司る神経機能の総称です。

一般的に言われる運動神経とは、運動スキルとも言い換えることができます。

運動のスキルは、一般的に

・粗大運動スキル
・微細運動スキル
・感覚機能

に分けられます。

そして運動神経がよい、という表現は、一般的にこれらの機能がバランスよく発達していることを意味します。

粗大運動スキル

粗大運動スキルとは、

・登る
・歩く
・ジャンプする

といったような大きな協調性のある筋肉の動きのことです。

微細運動スキル

微細運動スキルとは、

・手や指を使って物をつかむ
・絵を描く
・文字を書く

など、小さな協調性のある筋肉の動きのことです。

感覚機能

感覚機能は、筋肉の動きと密接に関係しています。

例えば、手を適切に動かして目的とするものをつかむためには、手と目の協調が必要です。

また、バランス感覚も目や耳からの情報を取り入れて、身体の全体を協調させることで発揮することができます。

感覚機能

運動神経を鍛えるメリット

運動神経を鍛えるということは、ある意味脳を適切に使う訓練であるともいえます。

というのも、運動神経を鍛えるということは、目や耳などから入る情報を脳で処理し、その情報をもとに手足や身体全体を適切に動かすことになるからです。

また運動神経を鍛えるために運動することは、ポジティブな感情を生み出し、

・自己肯定感
・学習能力の向上

などにつながると考えられています。

バランス感覚とは?

バランス感覚、あるいは平衡感覚とは、バランス能力とも言われるもので、身体の姿勢を調節する能力のことです。

バランス感覚が発達していることで、わたしたちは真っ直ぐ立つことができますし、歩いたり走ったりすることも可能になります。

バランス感覚には、わたしたちの耳のなかにある平衡感覚を司る三半規管と呼ばれるところで処理された、

・身体の向きに関する情報
・足の裏や関節で感じる位置情報

を脳で処理し、あるべき姿勢をとるために脳から手足や身体の神経に指示を出すプロセスが含まれています。

バランス感覚を鍛えるメリット

バランス感覚を鍛えることで、わたしたちは姿勢を正しい位置に維持し、転ばないように手足を調整することが可能になります。

バランス感覚を鍛えるメリット

赤ちゃんでも鍛えることができる!運動神経を良くするには

では、次に赤ちゃんでも運動神経を鍛えるためにできることをご紹介します。

生後数ヶ月から行えること

生まれて間もない頃から取り組めることをいくつかご紹介します。

これは主に粗大運動スキルや感覚機能を鍛えることにつながります。

いろいろな世界を見る遊び

寝転がっている赤ちゃんの向きをそっと優しく変えます。

赤ちゃんの首の筋肉や頭のコントロールを強化することができます。

頭の向きを変えることで、赤ちゃんが頭を動かすことを促します。

うつぶせ遊び

うつぶせにすることは、赤ちゃんが

・転がる
・ハイハイする
・歩く

などをするのに必要な首、肩、腕、体幹の力を伸ばすために最良の方法です。

最初はお父さんやお母さんの胸の上でうつぶせにし、頭を持ち上げる力がついてきたら、平らな場所でも挑戦してみましょう。

最初は1分以内の短い時間から始め、赤ちゃんの成長に合わせて徐々に時間を増やしていきましょう。

赤ちゃんが起きているときに行い、赤ちゃんの様子をしっかり見守ることを忘れないようにしましょう。

引っ張り遊び

掴みやすいもの(ガラガラなど)を赤ちゃんの手に持たせ、優しく引っ張ってあげましょう。

赤ちゃんが抵抗することで、筋肉をつけるのに役立ちます。

微細運動スキルや感覚機能にも良い刺激になるでしょう。

引っ張り遊び

お座り、ハイハイを始めたらできること

お座りが出来るようになり、ハイハイを始めるようになると、赤ちゃんの動き回る範囲が広くなります。

まずは、

・床の上に何もおかない
・手の届くところに危険なものがない
・電気のコード類やコンセント類がない

状態にします。

一人で座れるようになったら、寝転がっている時と比べて赤ちゃんの視界は広がります。

手の届くところにおもちゃを置きつかませてみましょう。

ハイハイを始めたら、興味を引くおもちゃなどを少しだけ離れたところに置き、取りにいかせてみます。

このように、赤ちゃんの発達に合わせて少しだけ難しい「ちょうどいい」チャレンジをさせてあげましょう。

つかまり立ち・一人歩きを始めたらできること

生後4ヶ月から7ヶ月になったら、赤ちゃんの脇に手を入れ優しく抱き上げ立った状態にしてあげましょう。

この時期になると、赤ちゃんは身体の各部分の機能を理解し始め、助けを借りながらでも足を使って上下に跳ねるようになります。

これは、赤ちゃんが歩けるようになるための準備に役立ちます。

ただしベビーウォーカーの使用はお勧めしません。

ベビーウォーカーのなかにいる赤ちゃんは、自由に動くことができず怪我をする原因となることがあります。

またウォーカーの中でつま先立ちをすることで、歩くのが遅くなることもあります(赤ちゃんが自分で押して歩くタイプのおもちゃは大丈夫です)。

ボール遊びを始めたらできること

ボール遊びを始めるようになれば、積極的に道具を使った遊びを取り入れます。

これは微細な運動スキルを向上させることも役立ちます。

例えば、大きなボールを赤ちゃんに転がし、赤ちゃんとやりとりすることができれば、赤ちゃんの成長を促すことができます。

最初はボールをただ叩くだけですが、投げ返すことを繰り返すと、次第に赤ちゃんの動作のレベルが上がります。

特に遊びの要素を取り入れ、

・そのときの発達レベルより少し難しいことにチャレンジをさせること
・うまくできたときには一緒に喜んであげること

が、継続して取り組むための秘訣でもあります。

ボール遊びを始めたらできること

赤ちゃんでも鍛えることができる!バランス感覚を良くするには

さらに、赤ちゃんでもできる、バランス感覚を良くする方法についてご紹介したいと思います。

おんぶと抱っこ

赤ちゃんは、おんぶされたり抱っこされたりすることで、身体のバランス感覚を向上させます。

赤ちゃんは、おんぶや抱っこをしてもらうと、大人の身体の動きに合わせて自分の身体の位置に関する情報を脳で処理する必要があります。

このプロセスを繰り返すことで、自然とバランス感覚が身につきます。

高い高い遊び

いわゆる高い高い遊びは、赤ちゃんの身体が急にさまざまな方向へ動きますので、バランス感覚を養うことにつながります。

当然ながら首が座ってからするべき遊びですが、激しくしすぎると脳へのダメージにつながる可能性があります。

揺さぶられっ子症候群(乳児揺さぶり症候群/乳幼児揺さぶられ症候群)ともなりうるのでどのくらいの加減で行うべきか、赤ちゃんの成長の程度に合わせて様子を見守りながら気を付けて行いましょう。

お父さん、お母さんの手から離れるほど

・高く放り投げる
・激しく振る

といったことをするのは避けましょう。

バランスボールを使った遊び

バランスボールがあれば、腹這いにした赤ちゃんをバランスボールに乗せ、ゆっくりと揺り動かすと、赤ちゃんのバランス感覚の向上に役立ちます。

バランスボールがなければ、仰向けに寝たお父さんやお母さんの胸の上に、腹這いにした赤ちゃんをのせた状態で、大人が体を傾けることを試してみましょう。

この動きは、赤ちゃんには地面が傾くことに等しい動きになります。

バランス 遊び

まとめ

赤ちゃんの運動神経やバランス感覚について、鍛えるメリットや鍛え方をご紹介しました。

赤ちゃんは新しいことをさせるとうまくできずに泣いてしまうことがあるかもしれませんが、運動スキルの習得には試行錯誤が大切です。

何度か自分で試してみて、失敗するようであればお手伝いをしてあげましょう。

また、赤ちゃんがスキルを習得したら、そのスキルより少し難しくしてあげることで、次のステップに進むことができるようになります。

また赤ちゃんは遊びを通して学びます。

赤ちゃんが楽しめるおもちゃやアクティビティを見つけて、新しいスキルを練習するときに使ってみましょう。

できれば、家族みんなにも参加してもらいましょう。