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【小児科医師執筆】赤ちゃんの乳児健診(乳幼児健康診査)の目的とポイント

この記事の監修医

井上 信明 先生

井上 信明先生

資格・経歴

日本小児科専門医、小児科指導医、アメリカ小児科専門医、 小児救急専門医。公衆衛生学修士(国際保健)

奈良県出身。奈良県立医科大学卒。日本、アメリカ、オーストラリアにて小児科、小児救急医療を研修。日本だけでなく、特にアジアの子どもたちが、安全で安心できる環境で育つことができる社会づくりを目指しています。

赤ちゃんが生まれてしばらくすると、健診があることを聞いたことがあるのではないでしょうか?

でも具体的に、いつどのような目的で行われているのかよくわからない方もおられるのではないかと思います。

そこで今回の記事では、赤ちゃんに対する乳児健診について、実施時期やその目的についてご説明いたします。

乳児健診(乳幼児健康診査)とは

乳児健診は、正しくは乳幼児健康診査と言います。

日本では、1940年に制定された母子保健法のなかで規定されており、乳幼児の健康を守り、適切な発達を確認するために行われるようになったのが出発です。

乳児健診には、

・法律で実施が義務となっているもの(定期の乳児健診)
・義務ではないもの(任意の乳児健診)

があります。

なお、かつては集団健診と呼ばれる、同年代の赤ちゃんを一箇所に集め、そこに小児科医や保健師が出向いて行うスタイルが主流でしたが、最近は小児科クリニックが乳児健診を行うこともあります。

もしかかりつけの小児科で乳児健診を受けることができれば、病気のときだけでなく、元気なときも同じ医師に診てもらっておくことができます。

また

・成長
・発達
・育児

に関する相談も同じかかりつけ医にすることで、長期に渡って赤ちゃんの成長を診てもらうことができるメリットがあります。

定期の乳児健診

実は、母子保健法で定められている健診は、

・1歳6ヶ月健診
・3歳児健診

のみです。

この2つの健診については、市区町村が実施することが義務づけられています。

しかし実際は、多くの市区町村で定期の乳児健診を独自に定めています。

その多くが

●3・4ヶ月健診
●9・10ヶ月健診

を定期健診として実施しています。

定期健診は、自治体が費用を負担してくれることが一般的ですので、無料で受けることができます。

任意の乳児健診

3・4ヶ月健診と9・10ヶ月健診以外に、

●1ヶ月
●6・7ヶ月
●1歳

の時に健診を受けることができる自治体があります。

この時期の健診は、任意となっていることが多くなります。

ただ自治体によっては、この時期も健診費用を負担してくれることがあります。

お住まいの自治体やかかりつけの小児科で確認してみましょう。

乳児健診(乳幼児健康診査)

乳児健診|1ヶ月健診

まず1ヶ月健診の概要をご説明し、健診内容をご説明します。

1ヶ月健診|実施目的

赤ちゃんは、生まれてから1ヶ月ほどかけてお母さんのお腹のなかの環境から、外の環境に移行しています。

つまりこの時期に、完全に外の環境に適応するように変化しています。

したがって、1ヶ月健診では、本当に赤ちゃんがお母さんのお腹の外の環境で成長し、発達していくことができているのかについて確認します。

また同時に、出産直後の少し気持ちが高揚した時期が落ち着き、ご両親が毎日の育児で現実に向き合い出す時期でもあります。

ご両親の育児への関わり方に問題を抱えていないかを聞き出すことも重要な目的になります。

1ヶ月健診|健診内容

身長・体重の計測し、それぞれの増加傾向を確認します。

特に体重の増加が不十分であれば、授乳量の確認を行います。

診察では、

・赤ちゃんの心臓の雑音の有無
・太腿の付け根の動脈での脈の触れ具合
・へその状態
・股関節の脱臼の有無

も確認します。

赤ちゃんの出血の原因となるビタミンK欠乏症を予防するため、ビタミンKを忘れないで飲ませることも確認します。

1ヶ月健診

乳児健診|3・4ヶ月健診

次に、多くの自治体で定期健診に取り入れている3・4ヶ月健診についてご紹介します。

3・4ヶ月健診|実施目的

赤ちゃんの体の軸がしっかりとしてくる時期です。

また音や見えるものにも反応を示す時期です。

したがって、この3・4ヶ月健診では

・体の成長の確認
・体の軸が固定されているのか
・音などの刺激への反応

を確認します。

3・4ヶ月健診|健診内容

赤ちゃんの身長・体重を計測し、適切に増加傾向にあることを確認します。

診察では、赤ちゃんの首の座り状態を確認します。

・うつ伏せで寝かせたときの首の位置
・仰向けに寝かせたときの姿勢
・手足の動き

などもよく観察します。

・また音に反応するか(聴覚)
・目を合わせると笑うか
・声かけに反応して「あー」「うー」などの発語があるか
・周囲の動くものを目で追うか(視覚)

も確認をします。

3・4ヶ月健診

乳児健診|6・7ヶ月健診

自治体によっては行うことがありませんが、6・7ヶ月健診についてご説明します。

6・7ヶ月健診|実施目的

体の動きが活発になり、手遊びを始め、寝返りやお座りができるようになる時期です。

また離乳食を始める時期でもあります。

赤ちゃんの人見知りが進み、周囲に興味を持っていることがわかるようになる時期です。

なおこの時期には、生まれる前にお母さんからもらっていた免疫というウイルスや細菌と戦う力が失われ、自分の力で免疫を作り出します。

この時期以降、赤ちゃんはよく熱を出すことがあります。

6・7ヶ月健診|健診内容

赤ちゃんの身長・体重を計測し、適切に増加傾向にあることを確認します。

診察では、

・赤ちゃんがひとりでお座りができるか
・あるいは体を支えると座ることができるか

を確認します。

・寝返りをうつことができるか
・体を支えながら立たせたときに、足に力が入っているか
・手を使って遊ぶ様子がみられるか
・ものを口のなかに入れたり、手に取ったものを投げたりすることがあるか

も確認します。

ひとりでおしゃべりするように声を出しているか、笑うことがあるかも重要な情報です。

6・7ヶ月健診

乳児健診|9・10ヶ月健診

9・10ヶ月健診も、多くの自治体で定期健診に取り入れています。

9・10ヶ月健診|実施目的

この時期は、つかまり立ちが始まる時期です。

またさまざまなものに興味を持ち、ハイハイをして自分で動きまわります。

社会性が育ち、お父さん、お母さんと遊ぶことを覚える時期でもあります。

離乳食が進んでいる時期です。

睡眠が確立し、夜を通して眠るようになっています。

9・10ヶ月健診|健診内容

赤ちゃんの身長・体重を計測し、適切に増加傾向にあることを確認します。

診察では、

・支えがなくても座ることができるか
・簡単にお座りの姿勢を維持できるか

を確認します。

・ハイハイをしているか
・つかまり立ちなどの運動機能の発達具合

も確認します。

体が倒れそうになった時に手を伸ばして体を支えようとする「パラシュート反射」があるかも確認します。

これは、赤ちゃんが倒れてしまっても、自分の顔を守ることができる反射ですので重要です。

・指を使って小さなものをつかむことができるか
・自分でものを口に入れることがあるか

も重要な情報です。

・パパ、ママなどの言葉が言えるか
・お気に入りのおもちゃを使って遊んでいるか
・名前を呼ばれると反応するか

なども確認します。

歯の生え具合、離乳食の様子なども確認します。

9・10ヶ月健診

乳児健診|1歳健診

区切りとなる1歳の健診ですが、定期健診としていない自治体も多くあります。

この時期は予防接種も大切ですので、予防接種の機会を使って

・簡単に診察してもらう
・心配事を相談する

こともよいでしょう。

1歳健診|実施目的

ひとりでたち、伝い歩きを始めている時期です。

社会性もさらに育ち、おもちゃでよく遊ぶようになります。

パパ、ママ以外の言葉も言えるようになっているでしょう。

離乳食も終わりに近づき、ミルクの量も減っている時期です。

1歳健診|健診内容

赤ちゃんの身長・体重を計測し、適切に増加傾向にあることを確認します。

この時期では、生まれたときの体重の3倍くらいに増えていることが普通です。

診察では、ひとり立ち、伝い歩きなど運動機能の発達を確認します。

赤ちゃんが立ったままの姿勢で、

・支えているものから離れることができるか
・ある場所から別の場所へ移動できるか
・自分で歩いているのかそれとも手をつないで歩いているのか

などを確認します。

・「ママ、パパ」などの言葉が言えるか
・またそれ以上の言葉を発するか
・周りの人の言葉を真似するか

などを確認します。

・おもちゃで遊ぶかなど周囲に対する関心があるか
・欲しいものや気づいてほしいものを指で指し示すことができるか
・両手で物を使って遊ぶことができるか
・自分の手でコップから飲むことができるか

なども、重要な情報です。

歯の生え具合も確認します。

1歳健診

まとめ

特に、生まれてから1歳にかけて行われる乳児健診(乳幼児健康診査)についてご説明しました。

この時期に行われている乳児健診は、義務づけられているものではありませんが、定期健診として自治体が無償で実施しているものが多くあります。

・赤ちゃんの成長・発達に大きな問題がないか
・生まれつきの病気が隠れていないか

を確認する機会です。

またご両親が育児における悩みを相談する機会でもあります。

ぜひ、お住まいの自治体が提供している機会を上手に活用し、赤ちゃんの発達を確認してください。

なお、この記事では予防接種については言及していません。

予防接種については、別の記事で詳しく解説していますので、そちらを参考にしてください。


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